フードテック 代替たんぱく質

誕生して数週間の動物フリーのゼラチンを開発したJellatechとは

Photo Credit: Jellatech

世界中でフードテックの勢いが増していますが、カバーする領域はまだまだ小さいのが現状です。今回の記事では、ゼラチン分野にフォーカスしたスタートアップを紹介します。

2020年11月4日、Jellatechは誕生しました。同社はバイオリアクターでゼラチン・コラーゲンを培養する製造会社です。ゼラチン市場は毎年9%の成長率で成長しており、現在は35億ドル(3,700億円)ほどの市場規模とのこと。

この巨大な市場を相手に、ゼラチンをどのように作り出し代替できるのか?という問いが重要になってきます。この問いに答えるべく、まずはゼリーをクラゲや他の海洋生物のコラーゲンから作ることを最初の目標としていたとCEOは言います。結果、11月はじめにやっと完成しました。(上の写真はクラゲの形をした培養ゼリー)

Stephanie Michelsen, Co-Founder & CEO (c)CellAgri

CEOのステファニー(左写真)は、「動物から取り出し、不純物を除いた従来のゼラチンを、私たちは代わりにバイオリアクター*を使って細胞から育てます。だから複雑なコラーゲン抽出作業もいらなければ、家畜はもちろん、土地、運搬、屠殺もいりません。

私たちがデザインした方法を使えば、小さな場所でこれまで通りのゼラチンを作り出すことができます。高純度で高品質で安全、しかもサステナブルなサプライチェーンを保証します。」と述べました。

*バイオリアクターとは、酵素などの微生物や動植物細胞などの生体の触媒(化学反応の際にそれ自身は変化せず他の物質の反応速度に影響する働きをする物質)を使って物質の合成や分解を行う反応器のことです。

共同設立者で研究責任者のカイリーは、「私たちの目標は動物フリーで持続可能なコラーゲン・ゼラチンを製造し、動物に頼る飲食・コスメ業界の現状を変えることです。」と公言。彼女いわく、動物を使うよりクラゲなどの海洋生物を使った方が応用が効くそうです。最終的には従来のコラーゲン関連商品を全てカバーできるようにしていきたいと意気込みました。

コロナ禍で新たな食の選択肢に気づく消費者が増えたものの、リモート会話を強いられる中、カイリーはオランダの研究室にて開発を続け、デンマーク出身のステファニーは基本的にアメリカでビジネスを行っているそうです。こうした仕事環境でも、創業したばかりの同社には休む暇はありません。

The first cell-based jelly prototype (c)CellAgri

同社はクラゲなど、本物の生物の細胞を複写する(育てる)ことで増量し、研究室でゼラチンを製造。アメリカやEU、イギリス、イスラエルなど、多くの企業が同じような方法で牛肉、鶏肉、魚介類を作り出そうとしのぎを削っています。そんな中、ゼラチンに注目したことは、食の分野だけでなくコスメ、あるいは薬品業界でも代替できる分野が多いので期待が高まります。(写真は初の培養ゼリー試作品)

培養という、研究所で細胞をコピーしたものを食べるのに抵抗がある消費者にとっても、ゼリーやグミだったら比較的食べやすいかもしれません。アメリカの病院食には動物性ゼリーが当たり前のように導入されており、そうした場所でゼリーを代替できたら、世界の食変革の大きな一歩だといえそうです。

とはいえ培養肉の大量製造には10〜15年以上かかると推測され、インポッシブルフーズのCEOパトリック・O・ブラウンは「培養肉は商用には向いていないしモノにならない。私ならもっと他のことに資金を費やすだろう。」と批判的に捉えています。一般に、誰もが手にできる価格にするためにはコストを下げる必要があります。

コストを抑えられる規模の経済が出来上がるまで長期的な投資や、効果的なマーケティングが今後のスケールアップの鍵となりそうです。誕生して間もないですが、今後も継続的に定点観測していきたいと思います。

参考記事

Eat Just’s Josh Tetrick on the 4 Phases of Bringing Cell-Based Meat to the Masses

Jellatech to Make Animal-Free, Cell Culture-Based Gelatin

Jellatech Launches First Cell-Based Collagen and Gelatin Company

Cell-Based Collagen Company Looks To Disrupt Traditional Supply Chains For A Better World