海洋資源

海洋資源に優しい防波堤を開発したECOncreteとは

Photo Credit: ECOncrete

島国の日本は「テトラポッド」の名で知られる防波堤(消波ブロック)が津波などから災害を防いでくれます。しかし、それは海に住む生き物のことを考えずに設置されているのが現状です。ものによってコンクリートの寿命は半永久的だといわれており、環境のためを思ったコンクリート設計(デザイン)の重要性が高まっているといえるかもしれません。

ちなみに、海外では特に顕著ですが、一般的にコンクリートは海洋生態系に良い影響を与えません。いわずもがなコンクリートは天然にできたわけではなく人工的。表面に貝殻や藻類が繁殖しないのも無理はありません。

今回の記事では、2012年に創業したイスラエル拠点のスタートアップECOncreteを紹介します。社名からもわかるように、生態系(エコ)のためにコンクリート開発を再デザインしたスタートアップです。同社は人と自然との共存を図るのが目的でコンクリート(以下ECOncrete)を開発した様子。

英語ですが、以下の動画ではECOncreteのすべてがわかります。

創業者のIdo氏とShimrit氏は、何年もかけて潜水調査、学習を繰り返し、やっとのことで新技術を開発。従来のコンクリートとは異なり、新素材を配合することで小さな穴(気泡)と、凹凸の多い表面デザインが特徴です。調査では珊瑚や牡蠣、貝殻や藻類がECOncreteの表面で大量に繁栄しているのを確認し、この技術が海洋生物の多様性に貢献していることを自信を持って説明されました。

Ido氏はこうした技術を「バイオプロテクション」と呼んでおり、人のためにも海洋生物のためにもなる防波堤はケーススタディを兼ねて既に10箇所ほどで導入していますが、結果は上々だそう。

例えば、都会に生物多様性をもたらそうとするニューヨークのブルックリン・ブリッジ・パークでは、海面に近いところで水をため、生物が住めるようなポイント(水たまりのようなもの)を作り出すようなデザインをしました。生物が生息した成功要因はその形だけでなく、ECOncreteの素材や海表面の成分要素も重要だったとIdo氏は述べています。

Photo Credit: ECOncrete

上図のからわかるように、海岸に置く防波堤(ECO Armor Block)だけでなく、海底に敷くものや、海壁も開発しています。左下の商品(Bio-Active Wall System)は、海中だけでなく陸上向け。陸上の建築用にECOncreteが使われたら都会の街に緑がたくさん増えることが予想できます。

高さ7mの海壁を1km設置すれば、100本もの木を植えているのと同じ効果だと説明されていました。藻類による光合成が期待されているのが背景にあるそうです。人類の約60%が海岸沿い近くに住むといわれている中で、こうしたカーボン・フットプリントを減らすだけでなく災害や事故から身を守ることにつながるECOncreteは、スケールアップすることで世界を劇的に変えるかもしれません。

今年の6月には5Mドル(約5億円)を調達。これまでの合計資金調達はおよそ10億円ほど。グローバルに規模を拡大させるECOncreteの今後に期待です。

参照記事

意外と知らない、コンクリートの本当の寿命

Israeli Environmental Tech Firm ECOncrete Raises $5M