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次世代のオーガニック農法「インドア農業」の取り組みを進めるPlentyとは

普通に野菜を栽培する畑では、1年間で1回かあるいは2回しか収穫をしません。しかし今回紹介する企業は、なんと1年間に50回収穫たった1週間で種から収穫できるほどに成長するそうです。

 Photo Credit: Plenty

Plentyは2014年8月に創業。サンフランシスコを拠点に6年間、次世代のオーガニック農法「インドア農業」の取り組みを進めてきました。

農場の中にIoTのセンサーを置き、湿度や温度やさまざまな光の周波数を全部AIで分析することで、通常より早い成長速度で育て、味も調整して収穫しているのです。

具体的には、都市から近い屋内工場で高さ6mのポールを用いた垂直農法を行っており、天候や害虫などの影響を受けなくても年中栽培ができるだけでなく、水の使用量は1%と少ないことから、乾燥した地域でも栽培できるといいます。また、栄養分を含ませた水耕溶液をゆっくりと流してLEDで光を照射することで、土や農薬日光を必要としないことから、次世代のオーガニック農法だと言われます。

 Photo Credit: Plenty

①従来の1%の水分量での栽培。

②屋内で天候や害虫などのリスクを回避。

③農薬・殺虫剤は不使用。(洗わず食べれる)

④通常より狭い面積で栽培できる。(土もいらない)

⑤都市近郊に農場を置くことでフレッシュに届く。(店頭で長持ち)

Plentyの「インドア農業」にはこうした強みがあります。

工場は自動的に管理されており、カメラや赤外線センターを監視。ビッグデータと機械学習のデータ解析によってAIが独自のアルゴリズムでLED照明の光の強さや周波数、温度、湿度、水の流れなどを最適にします。

この最適化の結果、栄養素も高くて美味しい作物の生産量は150~500倍になります。最適化されたアルゴリズムも大事ですが、販売するところから近い場所に屋内農場を設置していることが大きな成長要因です。

CEOのマット・バーナードは「いま畑で育てられている作物の小売価格の30〜40パーセントは、運送費や貯蔵費が占めている」といいます。費用を減らすことで小売価格を抑えることに成功しているよう。

とはいえ、「ほぼ何でも栽培できるが、問題はコストだ。棚や照明、灌漑(農地に外部から人工的に水を供給する)設備は誰でも買うことはできる。でもその先に、通常なら作物1ポンド(約450g)を育てるのに40ドルかかる費用を、1ドルにまで下げるという課題があるのだ。」とも述べており、バーナード氏は運送費や貯蔵費以外のコストを下げる課題に直面している様子です。

現在、購入可能なラインナップは以下の4つ。

2017年には、ソフトバンク・ビジョン・ファンドやアマゾンのジェフ・ベゾスなどの投資家が2億ドル(約210億円)を出資急増加する都市部に住む人々の持続可能な食の未来に大きく投資されています。ちなみに、国連が発表した「2016年の世界の都市」によると、世界人口の54.5%は都市部に住んでおり、その割合は2030年までには60%を超えると予測されていました。

また、孫さんは「化学肥料を使っていなくても、殺虫剤を使っている場合が多いんですけれども。Plentyでは一切いらない。まさにこれもAIの力ですね。」とPlentyのオーガニックなAI活用を高く評価しています。

将来的には地球温暖化により気候変動が激しくなり、農作物に多大な影響がでる可能性があります。将来のサステナブルな農作物生産を実現するためにも、Plentyのサービスは高く評価(期待)されているのかもしれません。

2020年10月12日、独自の植物工場を開発する農業スタートアップPlentyは、Driscoll’sと提携したことを発表しました

Driscoll’sとは、カリフォルニアを拠点とする新鮮なイチゴやその他の果実の販売業者です。この会社は1904年に設立後、4世代にわたるファミリービジネスで、2017年には60億ドル規模の米国のベリー市場の約3分の1を占めていたといわれます。現在も世界最大のベリー生産者で知られています。

提携によりDriscoll’sはAIの搭載された農場を使うことができ、100年を超えて開発してきたノウハウをPlentyは享受できるといいます。近いうちいちごがラインナップに加わるよう。いちごやマンゴーなど熟しやすい作物の生産に力をいれていることが考えられます。

既存の植物学にとらわれない発想で開発した独自のアルゴリズム(人工知能)が制御することで、優れた風味の野菜や果物をわずかな水だけで栽培できるというPlentyの今後の動きに注目です。

参考記事

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