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イスラエル発、3Dプリントでステーキを開発するMeaTechとは

Photo Credit: Mea Tech

最近では日本でも人工肉製品をコンビニで見かけるようになり、レストランやカフェの看板でも存在感をアピールする世の中が出来上がりつつあります。

一般に、人工肉と聞いてひき肉のようなものをイメージする人も少なくありません。実は世に出回る人工肉のほとんどはイメージどおり。ハンバーガーに挟まったパティやソーセージなどがその例です。

今回の記事では、動物を傷つけたくないけど、やっぱりジューシーな肉厚ステーキが食べたいと熱望する人々が立ち上げたイスラエル発の人工肉スタートアップを紹介します。

Video Credit: MeaTech

2017年に設立されたMeaTechは、3Dプリントからステーキを作るために研究・開発。牛の幹細胞を培養し、脂肪細胞・筋肉細胞・組織構造を3Dプリントでレイヤーを積み重ねることで再現しようと試みています。(動画参照)

ちなみに幹細胞とは、分裂して自分と同じ細胞を作る(Self-renewal)能力(自己複製能)と、別の種類の細胞に分化する能力を持ち、際限なく増殖できる細胞とwikipediaで定義されていました

そして3Dプリント技術といえば、床に占める面積が少なく、少人数でリモート監視できるメリットがあります。そして、オーダーメイドの制作にかかる時間やお金を節減できる利点が大きい。人間の体は成長とともに変化するため、成長過程で何度も交換する必要がある”義手や義足”の制作などでも活躍しているのは有名です。

Photo Credit: Mea Tech

同社は3Dプリント技術を利用し、牛肉をオーダーメイドしています。使われる材料(インク)は牛の幹細胞から培養(増量)した脂肪細胞と筋肉細胞をあわせたもの。牛の”へその緒”から細胞サンプルを採取しており、屠殺が行われない点で動物に優しい開発を行っているとサイトで説明されています

MeaTech produces stem cell grown fat & tissue
credit: MeaTech

3Dプリントは、実際に牧場で育てた場合と比べると少ない社員数にもかかわらず、将来的に短時間で量産できる可能性もあり、時間やコストが大幅に抑えられそうです。

採取した細胞はバイオリアクターで培養(増量)。インク容器にその細胞が入れられ、3Dバイオプリンティングが開始されます。興味深いのは、製造(プリント)された肉は熟成・成長が必要な点。

つまり、プリントされた肉(細胞)を寝かせることで細胞が成長し、本物に近いステーキ(生肉)へと変貌するそうです。完成すれば、冷凍保存され配送準備へ移るとのこと。

こうしたプロセスのもとに人工肉が完成すれば、環境への負荷が大きく下げられるのは言うまでもなく、産業向けの巨大な肉塊も3Dプリントが可能となるかもしれません。現地生産も進み、越境が必要だった貿易がかなり減ることが予想されます。もちろん貿易に使われる無駄な資源利用も大幅に減少します。

まさに循環経済が現存の精肉業界をディスラプトしているといえそう。

Photo Credit: Mea Tech

イスラエル発のMea Techは図から読み取れるように、植物性の代替肉ではなく培養肉(CULTURED MEAT)を使用し、ひき肉のパティではなく3Dプリントでステーキ(肉塊)を製造するスタートアップです。全体を俯瞰しても、ステーキのような肉塊の再現にチャレンジする企業の数はまだ圧倒的に少ないことがわかります。

Photo Credit: Mea Tech

同社の資料では、2025年には代替肉(植物性)が全体の10%を占めると予想。培養肉は2030年に全体の10%を占め、2040年には代替肉・培養肉によって精肉市場の半分以上が入れ替わるといいます。

vegconomistの記事では、2019年から1年で培養肉への投資が3倍に膨れ上がったいいます。成長速度の高さが伺えますが、それを支える今後の需要拡大にも注目したいところ。

いまスーパーに並ぶ食用肉は20年後には半分にまで減るよう。Mea Techは以上の確かな需要をもとに、3Dプリント技術で本物にかなり近いステーキ(肉塊)の再現に向けて邁進しています。

Photo Credit: Unsplash “Carpaccio”

今年8月には、カルパッチョのような薄い一枚のレイヤー(筋肉から成る組織)をプリントすることに成功しました。もちろん、目標である分厚いステーキ肉のプリント実現までもう少し道のりがあります。

翌月の9月13日、Mea Techがある企業を買収したとgeektimeは発表。買収した企業名は非公表でしたが、鶏や牛、ガチョウなどを殺すことなく脂肪分を作る技術をもった企業といいます。傘下に加わった企業の最先端技術を合わせることで、Mea Techは目標へと一歩近づける様子。

同社は買収によって、植物性代替肉と、培養された脂肪分を組み合わせるという新たな試みを行う草分け的な存在を確立したものの、強い開発力をもつRedefine Meatなど、少数精鋭の競合に負けじと奮闘する必要があるようです。

3Dプリントによる代替人工肉のシェア獲得の期待と可能性が高まるMea Techに注目です。

参照記事

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