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日本人女性ヴィーガン起業家が設立したMIYOKO’S Creameryとは

緑と白で描かれた女神のロゴというだけで連想できる人。日常の一課として足を運び、なれた口調で注文を伝える人。海外にいけば、無意識のうちに現地のコーヒーショップよりも安堵感を覚え入店。英語での注文に困惑する人もいます。

スターバックスは世界的に知名度を高め、日本でも駅近くに無ければ驚愕の声が聞こえそうなほどです。アメリカではソイミルクを1997年に導入して以来、アーモンドミルク、ココナッツミルク、さらにはオーツミルクといった植物性ミルクの提供を一足早くスタートしました。

Photo Credit: MIYOKO’s Creamery

また、インポッシブル・フーズの植物性代替肉を使ったサンドウィッチを販売開始するだけでなく、プラスチックストローの廃止など、近頃は環境へ配慮した措置を急激に加速させています。

そんな中、2020年9月24日、カシューナッツ由来のクリームチーズがスタバで試験導入することが決定。チーズの販売価格はたった1ドルで、場所はシアトル郊外の1箇所のみですが、今回の試験を起点に米スタバ全店舗での展開がはじまる可能性もあります。

今回の記事では、植物由来のチーズやバターを製造するMIYOKO’S Creameryについて紹介していきます。

社名から推測できるように、「MIYOKO’S Creameryみよこの酪農製品販売所)」といった意味で、日本人女性のMiyoko Schinner(旧姓:にしもと)さんが創業したスタートアップです。約40年間もヴィーガン食を続ける彼女が創業した同社は、ヴィーガン用のチーズとバターを販売。主な原料にカシューナッツやココナッツを利用するといいます。

Photo Credit: New Hope 創業者のMiyoko Schinner氏

創業者のMiyoko Schinner氏は、1957年9月22日に横浜市で誕生。生まれてから7歳まで関東で暮らした後、家族連れでアメリカに移住。現在の年齢は63歳でも、写真の通り元気な現役CEOとしてこれまで数々の仕事を成し遂げてきました。55年以上に渡るアメリカ生活を健康に過ごしてきた彼女は、20代だった1980年代中半、腹痛にすごく悩んだといいます。

もともとベジタリアンだったこともあり、当初は原因が食事だとは思わなかったそうですが、乳製品を断食したところ腹痛がふきとんだそう。この出来事を境に30年以上もヴィーガンとして生活してきたそうです。しかし、はじめは好物だったチーズも食べられない現実と葛藤。悩んだ末に、自らヴィーガンレシピを考案し続けたといいます。

ヴィーガンレストランの運営をはじめ、ヴィーガンレシピを教える仕事も(レシピ本の出版も)生業としつつ、100%植物性のチーズを開発することに成功した彼女は、MIYOKO’s Kitchen(現MIYOKO’S Creamery)を57歳にして創設。2014年から、ヴィーガンチーズの製造スタートアップとしてアメリカのレストランや店に流通してきました。

Photo Credit: MIYOKO’S Creamery

こうした功績から、年齢も性別も関係なく、衝突した困難を真正面から乗り越えてきた彼女の溢れ出るエネルギーを感じます。

一般的なチーズはその種類によって体に害となる成分が含まれる可能性があると彼女は語ります。IGF-1と呼ばれる(がんを増殖させる)ものが多いタイプも存在するといい、MIYOKO’S Creameryでは栄養素だけでなく、食物繊維が豊富で、遺伝子組み換えでない、殺虫剤フリー、成長ホルモン・フリー、そしてコレステロール・フリーのチーズを製造することで大きな差別化を図っているそうです。

同社のチーズの大きな特徴は、人工添加物(香料など)を使用せずに自然発酵で風味づけする点。しかし、手間をかければかけるほど、価格は高くなる一方でした。

販売するヴィーガンチーズにはトリュフ味やハーブ味など豊富なラインナップが目に付きます。例としてトリュフ風味のチーズをみると、カシューナッツ、ココナッツオイル、乾燥マッシュルーム、白トリュフ風味のオリーブオイル、寒天、海水、タピオカでんぷん、酵母菌が原材料だと記述。

他の風味の素材でもカシューナッツとココナッツオイルは主原料となっていました。メインの原材料は固定しつつ、フレーバーの種類を増やすために、そして価格を抑えるためにも原材料を工夫していることが理解できます。CEOはそうした原材料によっては価格を半分ほどに下げることができたと述べました

今回発表された試験的なスタバ導入には、およそ43g(1.5oz)あたり1ドルで提供しています。価格幅の広い同社のヴィーガン乳製品の中にはハイエンド(最高品質)のチーズも用意され、ワインと一緒に楽しむ富裕層もターゲットとする様子です。

Photo Credit: MIYOKO’S Creamery

2012年にはArtisan Vegan Cheeseというレシピ本を出版。アマゾンには12種類もの本が販売されていました。

ウェブサイトでは12種類のヴィーガンチーズ・バターを利用したレシピを公開。ステップごとに説明され、初心者でもヴィーガンチーズケーキやカップケーキなどに挑戦できる様子です。シェフの肩書を持ったCEOによる影響力が功を奏したのか、あまりの人気に販売中のヴィーガンチーズには売り切れ表示が多く散見されます。

残念ながら日本では購入できないものの、今回の試験的なスターバックス導入を皮切りに、米国だけではなく世界中で展開する可能性もあります。同社の植物性チーズの展開と、動物を愛してやまないCEOの活躍に注目です。

参照記事

Starbucks Is Testing This New $1 Menu Item

Starbucks Now Distributing Miyoko’s Creamery Cashew Milk Cream Cheese

Miyoko’s Kitchen chef creates cheese that’s better for people and the planet