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ミート・フリーの植物性ドッグフードを開発したWild Earthとは

ペットとして犬を飼うようになったのはいつからでしょうか。

犬とヒトが関わりを始めたのは1.5万年前といわれています。はじめは主に番犬の役割を果たしていたものの、今日では癒やしとして、朝から晩まで犬と過ごすことに憧れを持つ人がいれば、うまれてから一日たりとも離れたことがなく、家族同然だと主張する人もいます。

ヒトと長らく生活をともにした犬は、消化システムが肉食から雑食へと変化し、現在では食事の幅が広がりました。肉食動物は生肉から熱に弱いビタミンやミネラルなど健康に必要な栄養素を得ていますが、雑食動物は肉以外からもバランス良く栄養を取らないと体調を崩してしまいます。ようは、犬も我々も日頃の食事に気をつかわないといけません。

Photo Credit: Wild Earth

しかし、我が子のように犬に愛情を注ぐ家庭でさえ、市販のドッグフードを利用しています。スーパーやペットショップなどで購入できる最も一般的なドッグフードには、袋入りの乾燥した固形のドライタイプと、缶や真空パック入りの柔らかいウェットタイプの二種類があります。

市販の主な原材料には、肉骨粉畜産副産物穀物がふくまれ、廉価品ほど肉の含有量が少なく、畜産副産物や穀物ベースの増量剤が多く含まれます。一部の高級品を除けば、犬にとっては不要で、アレルギー、各種成人病、虫歯の原因となるトウモロコシや小麦が肉よりも多く含有されていると説明されています

しかし、このような材料を使用しながらも、あたかも健康的で新鮮な自然食品が含まれているかのように消費者を誤解させる包装デザインが大変多く、近年の批判の対象になっています。今回の記事では、ドライタイプの植物性ドッグフードによって、犬の健康のため、そして地球のために大きく貢献するアメリカの企業を紹介していきます。

カリフォルニアを拠点とするWild Earthは2017年に設立しました。創設者はペットフード業界が、上述の通り栄養の偏った不健康なペットフードを生み出す温床と成り果てていることに幻滅し、それまでの健康に悪い原材料を一新するペットフードビジネスを作り出そうとしたことに始まったと言います。

Photo Credit: Wild Earth

同社が開発するドッグフードの主成分といえる、タンパク質の原材料として利用したのは、パンを作るときにも使われる“イースト(酵母菌)”。(注釈:他メディアでは麹だとしていますが、麹は米や大麦から作られる酵母菌の一種です)

Wild Earthのドッグフードは、酵母菌のほかにも43種類の成分からできています。炭水化物やカリウム、マグネシウム、ビタミンBやAなどが豊富なひよこ豆をはじめ、さつまいも、オーツ麦、えんどう豆など植物から得られるタンパク質や食物繊維などを軸に栄養バランスを整えているそうです。

犬のなかには人間と同じく食物アレルギー反応を示し、市販のドッグフードだと皮膚が荒れてしまう犬もいれば、消化プロセスに異常を来たす犬も多いのが現状です。しかし、Wild Earthの提供するドッグフードはすべて植物性のため、ヒトも安心して食べられるほど自然由来です。

酵母菌からとれるタンパク質には10種類のアミノ酸が含まれており、これが犬の成長に必須の栄養素だといいます。β-グルカンも豊富で、消化プロセスに好影響という。ちなみにβ-グルカンは、細菌真菌、酵母、オート麦、大麦といった穀物の細胞壁を構成する天然成分です。

Photo Credit: Wild Earth

米国のドッグフード6社との比較をサイトで見られますが、同社が他社より優れていることが一目瞭然となっていました。例えばプロテイン含有量が30%以上なのか、タンパク質の入手源が持続可能かどうかなど、同社が特に強みとして掲げる部分を切り出して比較しているようにもとれますが、ある米国のドッグフードはすべてがバツと評価されています。(依然として人工保存料・着色料を使用した動物性商品も多いのが現状)

利点の多い植物性ドッグフードと評されるWild Earthは月額制で約$28〜 $105以上(約3千円~1.1万円以上)で購入可能(配送料込み)。広い値幅はその犬の体重によるもので、サイト上でペットに必要な食事量を計算してくれる様子。一度限りで購入する場合は、定額制の2倍の価格に設定されていました。

ドッグフード業界において、ペットと地球のためを考えることは、小売価格を低くすることよりもはるかに重要であるといえるかもしれません。ペットを愛する飼い主には、ドッグフード代を出し惜しまないひとが多く、今後さらに「安かろう悪かろう」を謳うものづくりが淘汰されていく可能性が高まっています。

実際に、Wild Earthのドッグフード(ドッグスナック含む)を使用した人々の口コミを確認してもわかるように、植物性プロテインを犬は十分に消化できるのを実感する人や、それまでペットがアレルギーを持っていたことに気づかなかった人がWild Earthの商品を試してアレルギー症状がなくなったと歓喜の声を上げる様子がわかります。

Photo Credit: Wild Earth

写真の通り、約3000にも及ぶレビューでも平均で5つ星の評価を受けていることから、顧客満足度の高さが読み取れます。また、同社はDog Knowledgeとよばれるページで、犬に関する疑問などに答える記事を配信しています。なかには、「犬ってきゅうり食べられるの?」や、「犬のアレルギー症状のサインとは」など興味深い記事が多く、ペット愛好家を魅了しています。

加えて、製品が気に入った利用者はアンバサダーとして商品をSNSで拡散すれば最大60%の割引や報酬がもらえる仕組み。こうした戦略で熱狂的なファンを増やし続けているようです。

昨年の5月、同社はシリーズAラウンドにて$11M(約12億円)もの資金調達を行いました。ニューヨーク拠点のVegInvest、上海拠点のBits x Bites、香港拠点のVECTR、ベルリン拠点のP.O.V.、そしてM Venturesなどから投資をうけ、グローバルに評価を受けていることが窺えます。

案の定、グローバル展開を目指しているため、それぞれの地域のマーケティング、流通、製造などに通じた様々なパートナーを増やしていきたいとCSOはTechblitzのインタビューに答えました。日本に進出した場合、製造も日本国内で行いたいと考えているそう。発酵食品は販売する地域で作ることができ、食品の製造をローカライズするためには理想的だと述べました。

同社はドッグフードの次にキャットフードを作る予定とのこと。将来的には、個々のペットにパーソナライズしたフードを提供したいとしています。

植物性ドッグフードはペットを愛する飼い主に魅力的で、犬の健康にも必要不可欠となるはずです。そして言うまでもなく、地球環境に大きく貢献しています。すでに米国全体で利用が可能になるなど、成長スピードをさらに加速させている同社の動きに注目です。ミート・フリーのペットフード企業から今後も目が離せません。

参照記事

Wild Earth Launches World’s First High-Protein, Meat-Free Dog Food at SuperZoo

Crunch base- Wild Earth

「麹」を使い先端技術で作る、植物性タンパク質豊かなペットフードWild Earth