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ゲイツ財団が支援するアボカドを長持ちさせる自然由来コーティングとは

日々の食べ残し。ファミレス、自宅、ビュッフェなど、だれにも経験があるといっても過言ではない。

冷蔵庫の中から、とうの昔に忘れられた野菜が顔を出すこともあるかもしれない。まだいけるか、と匂いをかぐ人もいれば、ちょっと乾燥してれば捨てる人もいるだろう。

冷蔵庫に入れたきゅうりは10日前後で味が劣りだすという。野菜がもう少し長持ちすれば、食品ロスを減らせるかもしれない。ちなみにきゅうりは夏の野菜だから、どんな工夫を凝らしても収穫して放置すれば冬まで持たない。(漬物という手段を除いて)

Photo Credit: Apeel

冬にきゅうりを欲し、夏に白菜を欲する人がいれば、年中無休のスーパーはなんとしても対応するだろう。需要と供給の歯車が、季節性の環境サイクルにぴったり合わない状況が、フードロスを生んでいると言えるかもしれない。

他の要因として、アメリカでは“賞味期限”や“販売期限”がしっかり規則化されず、結果として消費者がまだ食べられるものを廃棄するようになっていることも一つだといわれる。また、十分に工業化されていない国々では冷蔵・冷凍の物流が十分でない。スーパーにおける保存・保管管理の徹底がなされてないことも原因だ。

今回は、こうした問題に対して自然由来の保存スプレーでフードロスに立ち向かう企業を紹介する。

Apeel Sciences(以下Apeel)は、ゲイツ夫妻の世界最大の慈善基金団体から10万ドル(約1,050万円)の支援を得て2012年に正式に設立された。保冷インフラの整っていない発展途上国での農産物のフードロスを削減するのが目的だとTechCrunchで報じられている。

この目的のため、ケニアやウガンダの農家が保冷することなしに鮮度を維持したまま農産物を消費者に届けられるよう、セルフまたはハイブリッドの物流システムを構築したという。

創設から8年、成長を続けるカリフォルニアを拠点とするスタートアップApeelについてまずは動画でサクッと全体像を見る。

Video Credit: Apeel

創業者ロジャーズのひらめき

動画でもわかるように、同社は農産物の第二の皮をつくる(スプレーする)ことで、農産物の鮮度を保つスタートアップだが、創立者でCEOのJames Rogersが起業アイデアをひらめいたとき、彼はカリフォルニア大学サンタバーバラ校で材料工学での博士号を取得しようとしていたとのこと。

「食品をダメにする要因は水分の減少と酸化だ」

Rogersは「この事実は、カーネギーメロン大学で鉄について研究していたころを思い出す」とTechCrunchに説明したという。

鉄もまた腐敗しやすい。というのも、鉄は錆びるものだ。大気中の酸素に反応しやすく、用途に限界がある。しかし、学者が鉄の表面を守るためにほんの少しの酸化バリアを張った。それがいわゆるステンレススチールである。

PhotoCredit: Apeel

同社は、ステンレスのように農産物の水分の減少と酸化を防ぐため、植物性の材料で無味のコーティングをしてきたのである。ちなみに現在、同社が扱える農産品はアボカド、アスパラガス、レモン、ライムの4種。

これら農産品の生産者はApeelのコーティングを利用することで、農産品の分野の売上が増加する様子だ。Apeelによると、例えばコーティング済みのアボカドが並ぶようになってから、Harps Food Storeのアボカド分野の利益は65%増加し、売上も10%上昇したとのこと

ここで特筆すべきは、水分を逃さないため、参加を防ぐためにプラスチック包装される農産物が代替可能になる点だ。売上が伸びるだけでなく、同時にプラゴミ問題にも、フードロス問題の解決にも貢献しているのである。

270億円もの調達資金は、サービス地域拡大に投じる

今年5月27日、2億5000万ドル(約270億円)を調達した。12年前の約1000万円と比べて2700倍ほどの金額を運用していることがわかる。これまでの調達金額の合計は378億円ほど。現在は1000億円を超える企業価値だと言われる

トーク番組司会者であるOprah Winfrey氏や歌手のKaty Perry氏といった著名人を始め、シンガポールが所有する投資会社Sovereign Wealth Fundなどの大手投資会社の支援を受けることから、その知名度の高さや期待度がわかる。

調達資金は事業拡大に使うとし、アフリカ、中央アメリカ、南アメリカの大手農業系企業や生産者と連携し、「店の棚に52週間、供給を維持するためには、北半球と南半球とで事業を行う必要がある」と氏Rogersは話しているようだ。

今後の動きに注目したい

参照記事

Preventing food waste nets Apeel $250 million from Singapore’s government, Oprah and Katy Perry

Apeel Sciences is combating food waste with plant-derived second peels