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ビール醸造から生まれ変わる、誕生して間もない大麦ミルクとは

Photo Credit: TakeTwo

代替ミルク市場がアメリカでレッドオーシャン化している。つまり、これから参入するメーカーに不利な状況が作られつつある。日本でも代替ミルクが徐々に浸透しつつあるが、アメリカにおける前例を見ておくのは大切かもしれない。

そこで今回紹介するのは、ビールや麦茶の原料で、麦ごはんにも使われる大麦から作られた植物性ミルク。アメリカのポートランドで創業したTakeTwoが開発した、世界初を謳う大麦ミルクの魅力についてまとめる。

Photo Credit: TakeTwo

Take Twoはアメリカのオレゴン州ポートランド(西側の上らへん)にて今年誕生した。同社の動きは早く、今年の3月には大麦ミルクを販売している。現在はすでにロサンゼルス(西側の下らへん)のカフェやコーヒーショップでも使用されるという。

公式サイトによると、Take Twoという名前には、ヒト・地球の健康を考えた第2の選択肢を作り出すという目的がある。味、栄養、そしてサステナビリティに力をいれ、植物性ミルクの可能性を広げると意気込んでいる様子だ。

アメリカではヴィーガン食が人気を博し、家畜から生み出される牛乳などの動物性ミルクより、持続可能性の高い植物性ミルクの需要が急増中。豆乳、アーモンドミルク、カシューミルク、ライスミルク、オートミルク、ココナッツミルク、ピーミルク(えんどう豆)などが主要な植物性ミルクだと言われるなか、大麦ミルクは非常に新進気鋭である。

TakeTwoが開発した大麦ミルクはどのように作られるのだろうか。

Why Take Two - an infographic outlining how Take Two takes spent grain from beer brewing (billions of pounds produced each year) and rejuvenates it to make Barley-Milk. Barley is a superfood powerhouse, packed with plant protein.

同社の大麦ミルクに含まれる原材料は、再生大麦、ココナッツ、えんどう豆タンパク質、チコリーの根、ひまわり油のみ。

主原料の再生大麦の“再生”とは、前回の記事におけるコーヒー豆とおなじように、本来であれば捨てられてしまうような材料をアップサイクルによって変化させたことを意味する。

つまり、本来であれば家畜のエサや、廃棄処分されるであろう、ビールの醸造過程などで発生する使用済み大麦を使用し、同社の技術によって栄養豊富な大麦として復活させているのだ。

ビール工場で発生する使用済みの大麦は、毎年約360万トン以上(+8billion pounds)にのぼり、同社はその大きな原料を軸に栄養豊富な大麦ミルクを生産している。低コストで莫大な原料を手にしたとも言えそうだ。

しかし、ビールにも使われる大麦はどんなポテンシャルを秘めているのだろうか。小麦とは何が違うのか?麦の種類までさかのぼってみる。

Photo Credit: おいしい大麦研究所:世界で食べられている主な麦

麦にはいろんな種類があって、世界で食べられるのはこの5つ。

大麦も小麦も同じイネ科の植物だが、大麦は小麦に比べて葉が短く幅広で、幼植物の頃は小麦よりも大柄に見えることから「大麦」の名がついたといわれており、実の大きさはほとんど変わらないとのこと。

大麦にはグルテン(粘り気のある物質)が含まれていない一方、小麦は大麦に豊富なでんぷん(酵素で糖質へ変わる)があまりないのが大きな違いである。

Photo Credit: おいしい大麦研究所 【大麦の3つの効果】より

機能性表示認可を世界で比較してもわかるとおり、便秘解消をはじめ、ダイエットや生活習慣病対策など、さまざまな健康効果が期待できそう。大麦に含まれる「β-グルカン」などの水溶性食物繊維は、腸内細菌のエサとなることで腸内環境を整え、腸の動きをよくしてくれるという。

ビール醸造での大麦は、その麦芽(大麦の芽)のもつ強い酵素力によってデンプンを糖質へ、そしてアルコールへ変化させるために重宝される。麦汁をろ過するときに生じるかすは、そのまま廃棄されることが多いのが現状だ。

Photo Credit: Take Two Foods is proud to announce the launch of the world’s first Barleymilk into grocery stores, coffee shops, and cafes across the Pacific Northwest and Los Angeles.

TakeTwoは世界初の大麦ミルクを謳っており、主要な植物性ミルクと比べて上述のようにユニークな原料調達を行っているのが特徴だ。

ビール工場の廃棄物から栄養豊富な大麦ミルクを作り出したTakeTwoは、すでに食料雑貨店やコーヒーショップに顔を出す。今後も成長に拍車をかけることが予想できる。

ちなみに日本(イオン)で購入できる大麦ミルクは、2020年4月20日に登場した模様。イタリアの「isola BIO(イソラビオ)」から直輸入しているとのこと。大麦ミルクの国内の展開にも注目が集まる。

参照記事

はくばく研究員が解説する 大麦とその効用

ビールの豆知識

The New Milk, Barley: A Plant-Based Milk That Sets New Standards for Taste, Nutrition, and Sustainability