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オーツミルク先駆者と呼ばれるOatlyの凄さとは

Photo Credit: Oatly

日本では昔から「牛乳を飲むのがいい」とされてきたが、環境を考えると、必ずしもそうではないと言える。近年は、植物性ミルクが世界中で注目を集め、大豆、アーモンド、オーツ麦などの植物から作られたミルクが人気だ。

今回の記事では、オート麦から乳製品の代替品を製造するスウェーデンのビーガンフードブランドOatlyについて紹介する。1994年に設立したOatlyは、現在スウェーデン最南部のスコーネ地方の都市、マルメに本社を置く。

スウェーデン南部のLund Universityで行われた研究開発から派生し、起業にいたった同社だが、特許を取得した酵素技術(自然によって作り出されるプロセスをコピーすることで食物繊維が豊富なオーツ麦を栄養豊富な飲料へ変化する技術)を利用することで、当時には前代未聞だったであろうオーツ麦ミルクを開発したという

現在はヨーロッパ、北アメリカ、そしてアジアにグローバル本部を8つ置き、550人の社員を抱える。設立当初は、市場から反応が乏しく、植物性ミルクが浸透しなかったことは容易に想像できるが、徐々に市場トレンドが追い風となり、2013年にプロダクトを刷新したことで、企業の価値が急激に上昇している。

現在では20カ国にわたり、50,000もの地域でOatlyの商品が購入できるとのこと。(現状、日本で購入不可)それでは早速、Oatlyの特徴やオーツミルクの良さについてまとめる。

製品の”至らないところ”まで公開する

Oatlyのウェブサイトを一瞥すれば確認できるが、商品一つ一つに対して良い部分(WHAT’S AMAZING)と、良くない部分(WHAT MIGHT BE LESS AMAZING)を記述するのが特徴である。

商品サイト右手に、原材料とその生産地、栄養成分、ヴィーガン対応であるかどうか、グルテン含有量に関する情報が確認できる。

ちなみに、左の商品が同社が開発したオーツミルクになるのだが、サイト冒頭で紹介されるように、室温で管理できる密閉パッケージングが施される。(こうした包装をambient packagingという)

続いて、商品の”良い部分”として栄養バランスを詳細に記述している。オーツミルクの魅力は記事後半でまとめる。

注目の”良くない部分”だが、最新製品のOat Drink Orange Mangoでは「甘味料のフルクトースやアロマ香料、柑橘系の人工酸を味覚のために使用した」とはっきり記述

理由として、現在の製品を作る上で必要な原料だったと添えており、本来であれば自然由来の材料で代替できるように常にアンテナをはっていると加えて説明した。このように、自然食品として完成に至らない部分や、過去にはパッケージングのために国外へ移動させたことも明らかにしてきた。

以上のように、環境に配慮したミルクの代替品であるだけでなく、商品説明や運営の高い透明性を誇っているのが、Oatlyの大きな特徴である。

「栄養素を最大限に、 環境への影響を最小限に」をポリシーとする

Oatlyのポリシーからわかるように、環境への影響を最小限にする努力は先ほどの高い透明性からも伺えた。そもそも牛乳や山羊ミルクなどの動物性ミルクがなぜ環境によくないのかというと、生産にあたって温室効果ガスを多く排出するからだ。

Photo Credit: Oatly

同社によると、大気中に放出される二酸化炭素の14.5%が家畜によるもの。Oatlyのオーツミルクなら、牛乳と比較して、1リットルを生産するのにあたり排出される二酸化炭素が8割も少なくてすむ計算になるという。

Oatlyは、プレーンのオーツミルクだけでなく、オーツグルト(オーツ麦のヨーグルト)、アイスクリームスプレッド(バター状のチーズ)などなど、幅広いラインナップを展開する。他社と比較して種類が豊富で、オーツミルクから代替乳製品を体験した消費者が、植物性ミルクの魅力に気づくきっかけとなっている。

そもそも、オーツミルクはどんな栄養素があるのだろうか。オーツ麦を裏ごしして作られたミルクだが、他の植物性ミルクと比べてどれだけ優れているのかについて調べる。

以下に、代表的な牛乳、アーモンドミルク、ソイミルク、オーツミルクを比較した。表の中に、ミルク(コップ1杯分)のカロリー、たんぱく質量、カルシウム含有率を記載している。

Credit: Foody Style(USDAのデータを元にしたという)

4種のミルクの中で、オーツミルクは最も炭水化物量が多い。オーツミルクの原料「オーツ麦」の栄養素は、食物繊維が玄米の3倍。食物繊維量が多いため、満腹感を味わえるというメリットがあるとのこと。オートミルクはソイミルクと同様に、コレステロール値を下げる効果や、食物繊維によって食後の血糖値の上がり方を緩やかにする効果があると言われている。

まさに「栄養素を最大限に、 環境への影響を最小限に」を目指すOatlyにとって、オーツミルクを利用した商品開発の機運が熟しているのは言うまでもないだろう。

今年7月14日、Oatlyは2億ドル(約212億円)もの資金調達を済ませた。Blackstone Growthによって投資が行われ、Oprah Winfrey、Roc Nation、Natalie Portman、スタバ前会長兼CEOのHoward Schultzなどが同ラウンドに加わったという。より持続可能なフードシステムは世界中で成長が加速し、その需要も急速に拡大していることが伺える。そしてこの拡大を後押しするのはミレニアム世代とZ世代であるとbusiness wireで述べられた

Oatlyのように、すべての製品説明において透明性が高ければ、消費者も自分で判断して納得したショッピングがしやすくなるだけでなく、普段から購入・使用する商品のサステナビリティについて考えるきっかけともなる。

今後の同社、あるいはオーツミルク製品について確認していきたい。

参考記事

Oatly Gains Momentum in Its Global Plant-based Movement and Fuels Expansion With a $200 Million Equity Investment Led by Blackstone Growth