
電動自転車のシェアリングサービスのHumanForestは今年の6月にイギリスでスタートした。開始以来、利用者数では前月比+100%の急成長を続けている。今回の記事では、HumanForestの独特なビジネスモデルを紹介する。
早速、サービスの利用方法について簡単に説明してみる。

まずは、現在トライアル中の北ロンドン(イズリントンとカムデンの2地域のみ)にて、GPSによって地図上の電動自転車を見つける。アプリ内で自転車の鍵をアンロックし乗車。利用し終われば、どこにいてもアプリ内でEndボタンをスワイプして停車できる。(ちなみに最大23時間も場所を問わず一時停止することができ、充電バッテリーの交換はHumanForestチームが行う様子)
ここまでは、他の電動自転車シェアリングサービスと大きく変わらないだろう。しかし、HumanForestの特異点は、利用開始から1日20分間を無料で乗れるところである。ちなみに電動自転車シェアリング業界では、ロンドンで唯一の無料ライドを可能にした会社とのこと。
同社のパートナー企業には、Whole Foods(ホールフーズ)やRude Health(ルードヘルス)などが名を連ね、自社のマーケティングメッセージ(広告)をHumanForestの電動自転車に載せることで、利用者が無料でサービス利用できるという。もちろん、アプリ内の広告売上も大きく貢献している。
HumanForestは、他企業と同様にはじめの20分間の利用料金を売上として手にすることもできたが、もっと多くの人が環境に良い移動手段を取れるように、あるいは利用者数を増加させるマーケティング戦略として、このようなビジネスモデルを採用したと考えられる。
無料サービス後の料金は1分あたり0.12ポンド(約17円)だが、利用者はプロモーションなどを通じてさらに無料サービスを延長するチャンスも手にできるという。
同社のもう1つの特異点は、法人向けの有料電子自転車サービスだ。法人サービス契約会社の従業員は、月々8ポンド (約1,100円)で、毎日30分利用できるという。公共交通機関と比較して強調されたポイントは、30分のライドで150kcalを消費できることや、1kgの二酸化炭素を排出せずに済むこと、そして毎月2万円ほど節約できる点だった。
アフターコロナ時代に、ロンドン市民に対して公共交通機関ではなく、代替のグリーンな通勤手段を提示するHumanForestの強みは、1回の充電で80kmの走行が可能なバッテリーを搭載した電動自転車と、認定された再生可能エネルギーを利用する点である。
衛生面については、それぞれの電動自転車には消毒スプレーが用意されていると同社サイトのFAQで述べられている。加えて、乗車前後にハンドルやブレーキハンドルを拭くことを推奨しているほか、手袋の着用も推奨する。換気不足の心配がない屋外でのシェアリングサービスでも、こうした衛生面の配慮もかかせないだろう。
今年6月、HumanForestは180万ポンド(約2億5200万円)資金調達した。ライドシェアアプリ「Cabify」の創業者であるJuan de Antonio(ファン・デ・アントニオ)氏とVicente Pascual(ビセンテ・パスカル)氏を含むモビリティ業界の個人投資家による資金調達だとCrunchBaseで確認できる。
今回調達した資金は、9月末までに電動自転車を1000台に増やすために使われる。また、1年以内にロンドンに2000台を設置することを目標とした。
今後の動向に注目したい。
参考記事
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