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新たに注目を集めるコオロギ由来のタンパク質とは

近年、代替プロテインの開発に乗り出すスタートアップが急増しており、世界各国の代替肉市場では熾烈の闘いが繰り広げられる。2020年に入り、コオロギのタンパク質を利用する企業が国内外で台頭した。

例えば昨年、ロサンゼルスでHuman Improvementが創設。その前年には日本で、BugMoが誕生している。今回の記事では2社について深堀り、コオロギ由来のタンパク質を利用したビジネスを紹介する。

まずは国内でコオロギ由来のプロテイン製品を販売するBugMo。

Photo Credit: BugMo

BugMoによると、コオロギの旨みと栄養は、私たち人類の遺伝子に刻まれた根源的な心地よい欲求であり、雑食性のため地域の未利用資源を活用でき、環境に大きな負荷をかけないとのこと。人にも環境にも魅力的なコオロギは、未来につながる食材だと考えているという。

創業者の松居氏は、日本などの先進国で大豆やトウモロコシといった畜産(=タンパク質)飼料の開発のために熱帯雨林が伐採されている現場を見たのが問題意識のきっかけだという。

誰でもお金やスキルを問わずに作れる食べ物(特に動物性タンパク質)の必要性を感じ、昆虫によるタンパク質の持続可能なエコシステムや、他国による支援に頼らない食の循環の仕組みを構築することを目的に創業したとのこと。

こうした背景から、商品開発にも環境への配慮が見られる。例えばコオロギを育てる上で必要となる肥料は安価な大豆かすや米ぬかを使用し、コオロギの糞を肥料として地域の農家に還元するという。

そもそもコオロギはきな粉やナッツのような味で、日本人には馴染みがあると創業者は述べており、コオロギ本来の味をどう活かすかを軸に商品開発をするそうだ。

Photo Credit: BugMo
Photo Credit: BugMo

現在販売中の商品は、上の写真の「こおろぎだしパック」と「こおろぎだし」である。

「こおろぎだしパック」は1パックあたり1,620円で、今年の10月26日から順次発送する様子。

「こおろぎだしパック」には、乾燥野菜(国産玉ねぎ、キャベツ、にんにく)をはじめ、コオロギの粉末、昆布が入っている。

コオロギ本来の味が好きな消費者は、コオロギだしを使った料理を各家庭でアレンジ可能である。公式サイトでは煮物やロールキャベツなどの料理に使用した写真がみれる

ちなみに、コオロギは節足動物なので、同じ節足動物であるカニやエビなどの甲殻類アレルギーを起こす可能性も無くはないそう。

続いてHuman Improvement(以下HI)について紹介する。アメリカの同社はコオロギ由来のタンパク質を粉末としてブレンドし、従来のいわゆるプロテインパウダーと同じ類の商品として販売する。

現在は二種類(バニラ・チョコレート)の味から選べる。BugMoと異なる点は、従来のプロテインパウダーとして、あるいは別の言葉で表現すると、水溶性の粉として製品化したこと。

さらに、プレバイオティクス(Prebiotics:写真右)を推すことでコオロギというイメージを払拭しようと努力している点である。

ヤクルト中央研究所の「健康用語の基礎知識」から引用してプレバイオティクスについて補足。

 プレバイオティクスは英国の微生物学者Gibsonによって1995年に提唱された用語で、プロバイオティクスが微生物を指すのに対してプレバイオティクス(prebiotics;pre 前に、先立って)は、①消化管上部で分解・吸収されない、②大腸に共生する有益な細菌の選択的な栄養源となり、それらの増殖を促進する、③大腸の腸内フローラ構成を健康的なバランスに改善し維持する、④人の健康の増進維持に役立つ、の条件を満たす食品成分を指します。 〜「健康用語の基礎知識」より引用 〜

バニラ・チョコ両方の原材料をみると、コオロギ由来のプロテインは全体の2割ほどである。他には、玄米、えんどう豆、ココナッツミルク、かぼちゃなど自然派食品のパウダーがフレイバーに混ぜ合わされる。BugMoでは少ない原材料で、コオロギの味を全面に出そうと試みる一方、こちらはコオロギの味を無くそうとしていることが伺える。背景には食文化の違いがあるかもしれない。

値段は12回(12servings)分のミックスパックで$39.99(だいたい5000円ほど)である。サブスクリプションサービスも提供しており、4ドルほど安く購入できる様子。BugMoと単純比較はできないが、他のプロテインパウダーと比較してまだ割高である。(例としてマイプロテインのミルクフレーバーは33回分で4,000円ほど)

しかし、生産規模が拡大すれば価格も下がっていくことだろう。アメリカでコオロギ食が普及すれば、世界中でコオロギの生産エコシステムが急速に構築されていく可能性がある。今後のコオロギ由来のプロテインの普及と、関連する新製品発表があれば随時公開していきたい。

参考記事

BugMo

BugMo business

Hi! Human Improvement – Developed the world’s first, ready-to-mix cricket protein powder.

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