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企業の植林活動をAIで監視し保証するスタートアップPachamaとは

Photo Credit: Pachama

近年の環境意識の高まりを背景に、企業は植林プロジェクトを支援することで二酸化炭素排出を相殺させよう(以下、オフセットと呼ぶ)と試みるケースが多い。

今回紹介するスタートアップPachamaは、森林の保全プロジェクトや、企業が支援するカーボンオフセットプロジェクトが本当に行われているか、衛星写真などをリモートセンシング(遠隔探査)によって監視し、保証するサービスを提供する。

あえて難しく説明すると、Pachamaは植林プロジェクトをカーボンクレジット(二酸化炭素排出枠)マーケットに持ち込み、植林による温室効果ガス排出量のオフセット(二酸化炭素の相殺)を独立の立場から同社のモニタリングソフトウェアで検証するスタートアップである。

余談だが、Pachamaは南アメリカの先住民のための地球の女神”Pachamama”への尊敬の念からつけられたとのこと。

創業差のDiego Saez Gil氏は「認定された植林プロジェクトは現在わずか500件。数万件は必要」と述べ、現状に甘んじず、さらなる成長が必要とした。同社の損益分岐点は、オフセット(二酸化炭素の相殺)1トンあたり15ドル(約1600円)という

上記の例だと、アマゾンのオフセット(二酸化炭素の相殺)一トン当たり$5.70である。このようにプロジェクト地域毎に金額が異なり、現状で利益が出る地域はカリフォルニアとヨーロッパの2つの市場しかないと創業者は述べる。

現在サイトで公開済みプロジェクト数は24プロジェクトのみ。現在(2020年9月4日)は、単体のプロジェクトは購入できず、複数プロジェクトに自動で分散支援できるバンドル(まとめ売りを意味する)のみ販売中である。

支援したい利用者はユーザー登録とクレジットカード設定さえすれば、気に入ったプロジェクトに資金援助することができる。公式サイトでは、支援金はプロジェクト運営費に使用されるとしており、ガードマンを雇ったり、植林活動に付随する費用に回されると説明された

Photo Credit: Pachama

写真のように、各プロジェクトの購入ボタン(Buy Credits)のとなりには、左から植林活動を行うプロジェクト地の面積(Area)をはじめ、土地面積あたりのバイオマス量(Biomass)や、排出する温室効果ガスの量(Issued)が記されている。

単位ごとの価格はカーボンクレジット市場で決まり、上述のとおりプロジェクト地域毎に値段は異なる。

ちなみにバイオマスとは、特定の時点においてある空間に存在する生物(バイオ)の量を、物質(マス)の量として表現したものである。各プロジェクトではこのバイオマス量を増やすことを主な目的としていることがサイト上から読み取れる。

ニューヨークからサンフランシスコまで飛行機で旅行すると温室効果ガスが1トン排出されるという目安をもとに温室効果ガスを推し量り、そのプロジェクトが行われる土地の環境状態を判断できる仕組みである。支援したいユーザーはそうした指標や説明を読み、支援プロジェクトを選ぶ様子。

Photo Credit: Pachama

このように右側のmapboxがグラフィックに富んだきれいな地図を表示し、左部分ではタイプ、 場所、 二酸化炭素排出削減基準、プロジェクト運営組織が記される。その下にはプロジェクトの説明が長文で説明されており、スクロールしていくと先程の指標が確認できるだろう。

下部には、運営組織とローカル地域の双方にもたらす利益(Co-benefits)について説明され、そのプロジェクト地におけるバイオマス量を年別にグラフ化されたものが確認できる。1900年代初期から確認できるものもあり、当時の情報の信頼性が気にかかるが、支援プロジェクトの吟味には欠かせない指標だと考えられる。

Photo Credit: Pachama

CEOは「原生林の回復は地球規模の生物多様性の構築に貢献し、産業用の森林育成よりも多くの炭素を回収できる。いずれにせよ、作物栽培や畜産のために森林を破壊するよりはいい」と述べ、モニタリングする全ての植林プロジェクトは原生林を回復させるために効果的な手法だと考えていることがわかる。

他にも「農業に必要な面積を除いても、植林が可能な土地が地球上には10億ヘクタールもあるのだ」と今後の成長の可能性についても言及している。

今年1月、Pachamaは410万ドル(約4億5000万円)を調達した。自身の投資会社であるSaltwaterを通じて投資するUberの元幹部であるRyan Graves氏、Lowercase Capitalを通じて投資するUberの初期インベスターとして著名なChris Sacca氏、Paul Graham氏、Justin Kan氏、Peter Reinhardt氏などのかなり有名な個人投資家たちや、Social+CapitalGlobal Founders CapitalAtomicoなどのファンドが、410万ドル(約4億5000万円)の資金調達に貢献したとTechcrunchで報じられた

参考記事

Pachama launches to support global reforestation through carbon markets

How AI, satellites and drones could help plant a trillion trees

Pachama